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2011年10月 5日 (水)

西山雄二『哲学への権利』、国際哲学コレージュと柏まちカレ

2011/4/14  山下 洋輔 発表

 

西山雄二『哲学への権利』2011年、勁草書房

Ⅰ 概要

 J・デリダらによって創設された仏研究教育の市民団体「国際哲学コレージュ」。哲学者・西山雄二は哲学と教育の未来を問うため、関係者にインタビューを敢行、ドキュメンタリー映画『哲学への権利』を撮った。上映会は国内外40ヶ所以上3000人を動員。

「誰もが苦しみ悩まざるをえないときがある以上、根底的な思考と言葉は誰にとっても必要なものである。困難な状況をともに思考し、批判的に克服しようとするため、「手をつなぐ」ように言葉をつなぐ哲学の力が求められるのである。」----Essai01 出会い」より

 

Ⅱ 著者

1971年、愛媛県生まれ。神戸市外国語大学国際関係学科卒業、一橋大学言語社会研究科博士後期課程修了、博士(学術)。東京大学特任講師(グローバルCOE「共生のための国際哲学教育研究センター(UTCP))を経て、首都大学東京都市教養学部准教授、国際哲学コレージュのプログラム・ディレクター(20102016年度)

著者からのコメント

哲学書としては、実に風変わりな作品です。フランスの哲学者ジャック・デリダが創設した国際哲学コレージュの記録映画。国内外40ヶ所以上で開催された上映・討論会の記録とその旅の映像作品。監督かつ研究者である私自身の文章。いわば、映像表現と話し言葉と文章という多くの層からなる哲学の旅です。狭義の哲学だけでなく、私なりの視点と経験から、大学、学問、人文学といった制度的な問いにも言及されています。誰かと共に思考する現場を創り出すこと----〈哲学への権利〉の方へ

 

Ⅲ 感想

 デリダの本で、国際哲学コレージュのことは知っていたかもしれない。「柏まちなかカレッジ」を構想したとき、哲学カフェやサイエンスカフェの流れは意識していた。

私自身、大学院の博士課程にて哲学(教育思想)を研究していた身でもあったので、この著者で監督の西山氏の人文学への問題意識には、共感いたしている。

「柏まちなかカレッジ」も、誰でも先生になれ、年間カリキュラムもなく、入学資格もなく、スタッフも無報酬で、国際哲学コレージュと共通する部分も多く、理念から組織の抱える問題まで、具体的に参考になった。この誰でも先生になれるという「教える権利」というものは、貴重なものであると気づかされた。

現在の教育制度への問い直し、経済原理と価値、場といったテーマは、国際哲学コレージュのみならず、ビジネスや地域など現代社会においても重要なものと感じた。 そして、何より、上映・討論会という場を作りながら、哲学の可能性を問い直している西山氏の活動に心を打たれた。

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